エッセンシャルオイルに関する疑問
エッセンシャルオイルを始め、私たちが身近に触れる香料の安全性はどのようにして確認されているのですか?
香料は大きく分けて、化粧品香料と食品用香料に分かれます。
化粧品香料に関してはIFRA(国際香料研究会)という、世界の香料会社が出資してできた組織がRIFM(香料物質研究所)という研究機関の調査をもとにさまざまな香料の毒性を調べ、有害なものは使用禁止にしたり、用量を制限したりしています。
IFRAが作成する安全性に関するガイドラインは、先進国の間では共通に使用されているため、国際間でそれほど違いはありません。しかし、各化粧品会社が独自に設定したより厳しいガイドラインも存在するようですので、現在、企業を取り込んで共通の安全性基準を作成する努力をしています。
< 食品用香料(フレーバー)に関しては、世界各国の食文化が異なるためちょっと事情は複雑なようです。フレーバーは食品添加物のひとつとして扱われています。
日本では食品衛生法で使用を認められた食品添加物は、日本独自の「食品添加物公定書」として発表していて、これに記載されていない添加物の使用は一切認められません。
アメリカでも独自の規制が行われています。国の機関であるFDA(食品医薬品局)が主にチェックをしています。また民間団体も積極的に独自に調査、研究を行っています。
国際的には国連のFAO(食糧農業機関)と、WHO(世界保健機構)が、合同でCAC(合同食品規格委員会)という組織を設立し、国際食品規格集を作り始めています。
もっと新しい安全性の研究は、JECFA(合同食品添加物専門家委員会)という組織が行っています。現在は世界中で基準がバラバラなので、世界的に統一したフレーバーの安全性基準を確立する方針です。
最後に、私たちの身近になりつつあるエッセンシャルオイル(精油)について。
精油は、原液を飲む、塗布する、などという、とんでもない使い方をしなければ、安全性に大きな問題はないということです。しかし精油一瓶の中にはたくさんの香気物質が含まれています。平均して200種類以上あるようです。薬理作用も様々で、皮膚や粘膜に接触すると刺激と興奮を与えるものも多いのです。精油を化粧品業界などに提供している香料業界では、自主的に問題点を取り上げて研究しています。また上記のIFRA、RIFMの二つの機関で、香料素材の安全性のチェックを行っています。現在、精油の安全性に関するデータはこれ以外にないようです。アロマテラピー業界の精油使用の安全性についてはRIFMとIFRAの資料を参考に考えられています。(Q)
※RIFM(リフム) Research Institute for Fragrance Materials
1966年に香粧品素材の安全性を規定するために、アメリカに設立。 世界の大小の香料会社で構成する、加盟各社の出資及び、会費負担により自主的に設立された機関。ここで得られたデータは、良くも悪しくもモノグラフとして学術雑誌に発表される。
※IFRA(イフラ) International Fragrance Association
1973年ベルギーのブリュセルにおいて結成 現在の本部はスイスのジュネーブ。RIFMと共同で安全性のチェックを行い、香料産業としての実施綱領の作成と使用期限リストの作成などを行っている。日本香料工業会他、14ヶ国の香料団体が加盟している。