先日来、クリームクレンザーを作りたくて、
「純石けん」なるものを探している方がとても多い、
というお話をテレビ局さんからうかがいましたので、
今日はちょっとした石けんガイドのお話です。
大きめのスーパーやドラッグストア、ホームセンターには、
必ずといっていいほど純石けん、つまり、純粋な石けんも、
置いてあります。ちょっとだけ足を伸ばしてみてくださいね。
店員さんに訊ねてみても、ネットで調べてもいいと思います。
さてまず、
純石けん(混ぜものなしの純粋な石けん)を見つけるためには、
これかな?と思う製品を手に取り、裏の成分表示を見ます。
そこに「純せっけん」「せっけん素地」あるいは、
「脂肪酸ナトリウム」「脂肪酸カリウム」とあればOKです。
アルキルエーテルなんとかかんとかナトリウム、
といった長い名前の成分は石けんの成分ではなく、
合成洗剤の成分名なので、むずかしいですし、
覚えなくていいと思います。
ただし「複合せっけん」というのがときどきあります。
これは、せっけんとは名前がついていますが、
合成洗剤と石けんを複合した(混ぜた)ものなのでNGです。
純石けんには「固形石けん」、「粉石けん」、
そして、今回クリームクレンザーの材料に登場した、
「液体石けん」があります。
これらは形状が違うだけで、どれも混ぜものなしの、
純粋な石けん(つまり純石けん)といってよいでしょう。
固形石けんと粉石けんの場合は、成分表示に、
「純せっけん」「せっけん素地100%」「脂肪酸ナトリウム100%」
などと書いてあります。
固形石けんをすり金ですりおろしたものや、
粉石けんをおさじですくって、
水に1~2割溶かすと、泡ぶくぶく、
懐かしい石けん水ができあがります。
これをクリームクレンザー作りにお使いいただいても大丈夫です。
お風呂用とか、ふきん洗い用とかの、
余った固形石けんが、よく家の中に転がっていませんか。
それでじゅうぶんクリームクレンザー作りができますから、
安心してくださいね。
で、いよいよ、もうひとつの液体石けんの場合は、
成分表示に「脂肪酸カリウム○○%、水」とか、
「カリ石けん素地○○%、水」などと書いてあります。
実は、天然の油脂(脂肪酸)を鹸化するのに、
苛性ソーダ(NaOH 水酸化ナトリウム)を使うと固体の石けんが、
苛性カリ(KOH 水酸化カリウム)を使うと、
ジェル状の石けんができます。
固体の石けんは、普通の四角い固形石けんにしたり、
細かい粉に仕上げて粉石けんにしたりします。
いっぽうジェル状の石けんのほうは、水でうすめ、
使いやすい液状の石けん(つまり液体石けん)として、
製品化されています。
ですので、液体石けんの場合は、
純粋な石けんといっても100%石けん成分ではなく、
10~30%くらいが脂肪酸カリウム(カリ石けん素地)の石けんで、
あとは水です。
クリームクレンザーの材料には、
はじめから水に溶けた石けんが便利なので、
テレビや雑誌でご紹介するときには、
材料として液体石けんがよく登場します。
これで探しやすくなるでしょうか。
「純石けん」や「液体石けん」のこと、
初めて知った方もいらっしゃると思いますが、
そのつもりで注意して見まわすと、みなさまのまわりにも、
それらを扱っているお店が、思った以上に多いことに、
きっとお気づきになることでしょう。
あともうひとつ、石けん水や液体石けんと、
台所用の中性洗剤(合成洗剤の一種)との違いが、
よくわかる実験をご紹介します。
ひとつのお皿には石けん水か液体石けん。
もうひとつのお皿には中性洗剤。
それぞれ少量ずつ入れておいて、
そこにお酢を注ぎ混ぜてみましょう。
石けん水や液体石けんは中和され、
とろんとした油に戻ります。
中性洗剤は、なにも反応しません。
ビネガー水(お酢水)でさっとすすげる純粋な石けんで、
クリームクレンザーを作っていただければ、
あとに洗剤の成分が残る心配もありませんので、
大掃除のシーズン、ぜひそのさっぱりした使いごこちを、
安心して、ご家族みなで、たくさん楽しんでください。(^^)