あのう、
真空にしたら、
イセヒカリの玄米、
息がつまって死んでしまう、
なんてこと、ありませんか?
この質問を投げかけたとき、
あまりに意外な内容だったのでしょう、
農家であると同時に科学者でもある、
吉松さんのリアクションは「目が点になる」、
といった感じでした。
が、次の瞬間、破顔一笑、
そうかそうか、人間の身から想像すれば、
そう考えて疑問を持つこともありえますね、と、
以下のことを教えてくださいました。
「泥炭の中で発見された大賀ハスのこと、知っていますか」
はい。2000年前の地層から発見された縄文時代の実から、
東大の大賀博士が発芽に成功した、古代のハスですね。
「そうです。あれがよい例ですが、
ハスや水稲といった水生植物の種子は、
乾燥して酸素のない状態で休眠すると、
100年以上、発芽能力を保ったまま、
生き続けることができるんですよ」
100年以上??
「ヨーロッパの麦には130年前の種が芽を出した、
という記録がありますし、日本のイネにも、たとえば、
古い蔵の土壁に塗り込められたモミが、
壁から取り出されると発芽する、
といったことがおこります。
わが家の古い蔵を建て直したときに出てきたモミも、
明治時代の品種ですが、ちゃんと発芽しましたよ。
そうめずらしいことではありません」
壁に塗り込められた状態というのは、
ほぼ無酸素状態ですよね。
「酸素というのは、
私たちがふだん生きて活動するには必要でも、
本来、生き物にとって害が大きいものです。
きちんと乾いたイネの種子は、
むしろ酸素のない状態のほうが、
安全に、長い間、発芽能力を維持できます。
まして玄米は、
外をおおっているはずのモミ殻が取りのぞかれた、
無防備な“裸”の状態なので、
そのぶんいっそう、酸素によって傷つきやすい。
玄米表面の脂肪酸も、酸素があれば、
当然、“酸化”が進んでしまいますね。
酸素はないほうがいいのです」
なるほど。真空パックにすることで、
玄米を、発芽能力のある生きたお米のまま、
袋を開けるまでおいしく眠らせることができるのですね。
それに、無酸素にすればやっかいな虫害も封じることができる。
一石二鳥、なんてすばらしいのでしょう。
「そのかわり、パックを開けたら冷蔵庫か冷凍庫に保存し、
酸化や虫、カビなどを防ぎつつ早めに食べてください」
となると、2kg単位で小分けになっていることが、
とても便利ですね。女性も持ち運びしやすいですし、
一袋分が多すぎないですから、少人数の家庭でも、
食べきるのにそんなに苦労しないはず。
それに、真空パックはカチカチのブロック状態ですから、
なんなら本棚にでも、ふつうに立てて並べておけます。(笑)
どこでも常温で長期間保管できるので、
米びつから解放され、ほんとうに助かります。
「パックの透明ポリ袋は、
まったく空気を通さないというわけではなく、
わずかに出入りがある素材と考えてください。
それゆえ、吉松農園では出荷の際、玄米を入れて、
封をする前の袋に、脱酸素剤をポンと入れるだけですが、
それがだんだんと真空になり、
あのように自然にカチカチに固まるんです」
手間いらず。
味落ちず。
虫おらず。
作り手にも食べ手にも、
そしてお米自身にもメリットがある。
だからこそ、
無農薬栽培された貴重なイセヒカリ玄米は、
2kg真空パックでお届けします。
ふだん、私たちがスーパーやお米屋さんで見かけるお米の袋とは、
ちょっと違っているかもしれませんが、
特別な装置や薬品なしで玄米を保存し、手軽に輸送できる、
吉松さんのあざやかなアイデアです。
シンプル イズ ザ ベスト。
よく考えられた解決法は、
いろんな問題をいっぺんに終わらせてくれますね。
安心して、一袋ずつ、
おいしく召し上がってください。