雷雨

明け方の雷雨でレインフォレストの夢を見た。
湿度100%の緑に囲まれ。

そのまま起きて外を眺める。
うす暗い空に何度も稲妻が走る。

丘陵を切り崩し、斜面に立ち並ぶ家々は、
眠っているというより、狙われないよう、
息を殺しているように見える。

ハバナを吹き飛ばしたハリケーンは、
メキシコ湾を抜けて米国ルイジアナ州に向かっているという。
テレビでは、避難命令の出た町はひどく静かで、
ときどき軍用車両が行き交っているのが見えた。

これからはむしろ深刻化する自然災害の手当に、
強大でよく統率されたプロ集団の力が、
必要だと言われるようになるのかもしれない。
たとえば軍隊なども。

きついアイロニーだなあ、と思う。
平和は人間社会の取り決めだけで出来上がるのではなく、
自然環境がおだやかに安定することもその必須要素だと、
ようやく私たちは気付き始めている。
後者の、当たり前だと思っていた条件が、
ボロボロ崩れつつあるおかげで。

雷は、古くは田を四つ書いて一文字だった。

 田田
 田田

電光の瞬時に放射される様子を象っているとされる。
今、絵で描くならこんな感じだろうか。

 ☆☆
 ☆☆

(…失礼。やってみましたが、やはり、
 漢字には表現力で全然かなわない)

陰陽あいせまり、感じて雷となる(天文訓)
雷雨はものを生じる者(説文)、ともいう。

ぴかぴか。
たくさんのいかづちが、
何かの始まりを告げている。
新しいものが激しく生まれる様を、
古代の人々がそうしたように、
怖がらずに見ていよう。
音と光の、空の交響曲。