鵯(ひよ)の声がする。
都心の大学のキャンパスにある、
高い高い、銀杏の木。
梢に数十羽とまって鳴き交わしている。
鋭く伸びる美しい声。
鳩が近づくが、あわてて方向転換する。
地上から見上げると、
冬支度で裸になった木に、
パラパラ映るシルエットは、
落ちきらなかった大きな葉っぱのよう。
夕方、雀だけでなく、
鵯も集会するんだなあ。
気の強い葉っぱ。
都会のカラスも一目置く。
葉っぱたちは、忙しそうに、
ときどき羽ばたいたり、
向きを変えたりしている。
この冬が彼らにとって、
越しやすい冬でありますように。
迎えが来て、
再び人との会話に戻る。
来年のために、一日中話をしている。
このところ毎年クリスマスあたりは、
こんな感じかもしれない。
そうやってパタパタするうちに、
街の飾りも清々しく年迎えに変わる。
私もそろそろ羽繕いしなくちゃ、と思う。
さっき見た銀杏の梢に、
お鏡のような月がかかっている。
一休みした鵯たちは、
どこに飛び去っただろう。
一羽一羽、違う梢で、
どんな夢を見るだろう。