生まれて初めて、
きのこ狩りというものに、
参加させていただいた。
強烈な体験で、
そのあと目に入るもの入るもの、
きのこに見える。
今まで眼の前にあっても気づかなかっただろうに、
土や木から飛び出た形状のものには、
いまや即座におや、と見入ってしまうのだ。
この状態、いつまで続く。
天狗三兄弟。
左のふたつは若いベニテングタケ。
右のはふつうのテングタケ。
もうひとつ、タマゴタケの成長も。
それにしても、
ポコポコ、ポコポコ、
食べられるきのこも猛毒のきのこも、
おかまいなしにあちこちから顔をのぞかせ、
ぎゅうぎゅうと菌糸をはりめぐらせ…。
秋は偉大な腐食の季節、
でもあるのだなあ。
林の中、下を向いて、
きのこきのこと探していたら、
みなの声が遠くなってきて、
ああ、戻らなくては、と思った。
振り返ると目の前に楢の木。
根元近くに、
きれいな黒のフリルをまとっている。
フリル?
じっと見入って、
そっと取っていった。
見ていただいたら、
舞茸だった。
野生の香りは気高くて、
息を吸い込むたび湿った森を思い出した。
それは、家に帰り着くまでずっと、
動く鉄の箱の中を幸福で満たし続けた。