2007年9月8日(土)閉ざすのではなく

今度の台風はずいぶんたくさんの雨を降らせた。
もし昨日だったら大変だったろうと思いながら、
一日おいて、正常ダイヤに戻った新幹線に乗る。

思っていたよりも一本早く出発する便に、
ちょうど間に合うタイミング。
ドアが開いて、思わずつられた。

いいや、自由席なら空いているだろうと、
気まぐれを起こしたものの、
あいにくきれいに満席。
さて、どうしたものだろう。

ラフな格好なら、
学生のときからそうしているように、
迷わず最後部の座席と車両の壁との隙間、
そう、トランクなどがよく入れてあるところに、
すぽっと入り込んでキャンプを決め込むのだけれど、
今日の、麻のワンピースでは無理だ。
立っているしかない。

デッキに移動して、
なるべく人の動きをじゃましない場所に立つ。
これから2時間ちょっと。
ならばひさしぶりに、
軽い瞑想モードでいこうか。

iPodを友達に逆腹式呼吸。
五感を刺激するさまざまなノイズを鎮める。
いってみれば、晴れた月の夜に散歩している感じ。
明かりひとつで周りを見ているような、
ちょっと変わったモードに移行する。

1時間を過ぎたころ、
どやどやとオジサマたちがあふれてきた。
それも関係ない、と思っていたが、
呼吸が苦しくなってきたので、
ふうっと“ログオフ”。

誰もたばこなど吸っていなくても、
人が増えればその場の空気に混じるものがある。

その人がそれまで暮らしてきた方法、
通ってきた場所、過ごしてきた時間が、
空間を共有することで他者の中にも入ってくる。

それをシャットアウトするのが上手になったのが、
現代人という人種かもしれない。
冷暖房の効率を上げる気密住宅のように。
けれど本当は台風のように、
あたたかいところからむくむくと湧き起こり、
物々すべて洗い流し、吹き起こす力、
それをこそ装備したいものだ、
と、くしゃみをしつつ思う。

温暖化の未来。
人も風土の申し子なれば、
せめてそのように進化せんことを。