2007年4月13日(金)三度の花見

ふたたび、京都にいる。
この前訪ねたときは肌寒かったが、
今日はいい陽気だ。山辺の桜も見頃。
yamabe
苔の緑も美しく萌え出し、
あたり一面、
春がみずみずしく息づいていた。

夕方、仕事を終え、新幹線に乗るべく南に下る。
この季節、古都は観光で混雑の極み。
宿も取れないほどだが、せめてつかの間の風情、
賀茂川づたいに行ってみようということになった。
桜にはもうギリギリか、少し遅いかな、と運転手さん。
ええ、でも菜の花と水鳥たちも見えるから。
kamogawa
葉桜になりかけの、街中のソメイヨシノ。

コンクリートの飛び石を、
向こう岸から渡ってくる人がいる。
キャッチボールに興じる人。
トランペットを吹く人。
ジョギングをする人。
ぼうっと川面を眺める人。

何が一番思い出に残っているの。
不意の質問に、しばらく答えを探す。

意外にこの賀茂川と三方の山並みかもしれません。
あと、その頃食べたものの味とか。

建物じゃないんだね。

ええ、多くは取り壊されて新しくなっていますし。
懐かしいのは自然物ばかりのような気がします。

それは、私が居ようと去ろうと関係なく、
ずっと続く、この都への無言の贈り物だ。

折しも来日中の中国の首相は、
本日、北嵯峨の農家を訪れたとか。
直接見聞きし、味わった何かが、
人の奥底で発酵し、滋養をとなっていく。
その方にも、京の風景や手触り、味わいが、
じんわり染みこむといいね。ゆっくりと、でいいし、
それ以外ないのだろうから。

そういえば、と、シジミ蝶の話を教えてもらった。
温暖化は確実に進んでいる。
東京より桜が遅いからといって、
この都も例外ではない。