米袋から米をひとつかみ、
むずとつかんで浅鍋に入れる。
ぱらぱら、全体に散らすように。
重曹みたいな扱いだな、
と思いながらそれを見ている。
重曹をお風呂に入れるみたい。
鍋には魚や貝の残りくずが煮えている。
汁はサフラン、にんにく、ハーブが入り、
複雑なうまみのブイヤベースができている。
そこに米。火加減を弱くして、
くつくつ静かに汁を吸わせる。
こんなことができるのは無洗米だからだ。
研がなくても汁ににごりや粘りを出さないから、
米袋から直接、鍋中に撒いてしまえる。
ぬかをはぎとることでコシヒカリも外国産の米、すなわち、
リゾットなどに向くインディカ種の扱いに近づけることができる、
というのは、ある意味、発見だった。
無洗米にすると、どの銘柄の米も一様な、
特徴のない味になると聞いたことがある。
もともとレストランや弁当のための、
大量調理用に開発された技術だから、
むしろそのほうがいいくらいなのだろう。
気になって鍋の中身を少し混ぜると、
動かしてはいけないといわれる。
そうしていると、やはり粘りが出てきてしまう。
うまく芯の残る魚介のリゾットになった。
ジャポニカ種でも条件を逆手にとれば、
かなり上手にできるんだね。