2007年2月24日(土)衝撃波

鉄は、生き物と比べて、
とんでもなく強いんだなあ、と、
感じたことが何度かある。

鉄の道具を落としたとき、
床についた傷。
本の重さで傾きかけた棚に、
ほんの小さな鉄の支えを入れたとき。

二日前の事故直後、
偶然、現場を目撃した人が話していた。
トレーラーから落ちていたのは木くずだった。
だから産廃のトラックだと思っていたけれど、
あとで家具を運んでいたと知って驚いた、と。

鉄の箱に加わった一撃で砕けたのだ。
木くずに見えるほど粉々に。
衝撃はかたいものを通過し、
むしろやわらかいものに強く作用する。

家屋を取り壊すとき、
ショベルカーの手が、綿菓子を潰すように、
木と土でできた古い家を崩していく。
そのように直接触れなくても、
厳しく守られたやわらかいものを壊す方法がある。
その技術は善きことにも悪しきことにも使われる。

もっとも、何をもって善きというかといえば、
人の命を救うために、ということであり、
悪しきといえば、人の命を奪うために、
ということであって、人からの視点に違いはない。

 ほら、あそこだよ。
 大急ぎで修理してあるけど、
 支柱に大きな傷が付いているだろう。
 あそこにひっかっていたんだ。

まざまざと目にして、
ふだん考えを寄せることの少ないことを、
たくさん考えさせられた一日だった。