朝、ヒヨドリを見た。
灰色の羽毛。きっと立った頭部。すらりとした体躯。
太い電線に留まって羽繕いをしている。
片方ずつ扇のように翼を広げ、
くちばしで梳いている。
畑のものを食い荒らして農家に嫌われたり、
餌場や水浴び場で小さな鳥を蹴散らして、
愛鳥家をあきれさせたりもするが、
都会でも繁殖する親しみ深い鳥だ。
このヒト、渡ってきたのかなあ。
それともこのへんのヒトかしら。
話しかけられればいいのに、と思う。
北から来たのなら、山の実りはどうだった、と聞く。
このへんに棲んでいるなら、最近調子はどう、と聞く。
しばらくすると、パタタ、と羽ばたいて、
谷の向こうに行ってしまった。
パタタ、パタタタ、パタタ。
舞い上がっては滑空する、
波形の軌道を描いて。
先日は、人間との距離が2メートルを切ってもまだ逃げない、
昔から秋の頃によく出くわすタイプの雀に会ったし、
やたら暖かい11月の朔日だけれども、
季節は確実に秋から冬に向かっていると、
飛ぶものたちが教えてくれる。
パタタ、パタタタ。私も。
休みながら飛び続けよう。
そろそろ冬の支度をしよう。