This is it(2009.11.25)

ずっと、見たいと思っていたマイケル・ジャクソンのコンサートのリハを収めた映画。
MOVIEと言うよりは、映像レポートのような・・・・
相方を誘ったのだが、これが映画嫌いなのです。
最初は断わられた(笑)
でも、ま、折角とれたんだし、話題にもなってるし、じゃ行こうか、と言う事になって、久し振りに夫婦で夜にお出かけをした。
でも、実は、感動して圧倒されてしまったのは、結果として相方のほうだった。終わった時には放心していたし、いつも途中で必ず数十分寝てしまう人なのに、ずっと起きて集中して見ていた。
それだけでも・・・スゴイ!!とても50歳に見えない身体の動きと美しい声。
30年前と変わらぬその凄さに、私は、涙が滲んできた。
あえてオチを挟むなら・・・顔は随分と変わったけれど・・・・
来日した時に行ったコンサートと変わらないなんて・・・いやむしろ、こなれた分パワーアップしている。

薬に頼らなければならなかったなんて本当なんだろうか?
それよりも、死んでしまったなんて・・・・こんな素晴らしいステージをもう、私たちに見せてくれはしないなんて、本当なんだろうか?

あの身体と声を、そして、ものを作るという高いボルテージを・・・・年月が過ぎても変わらず保つ為に、この人はどんな血の滲むような努力をし、犠牲を払ったのだろうか?
耳に馴染んでいるマイケルのヒットソングの数々が流れ、自然に私の体もタクトをとる・・・・
インタビューの時とか、とてもそっと・・・囁くように話す優しいマイケルの声は、リハーサル中も変わらない。
喉を守る為に、大声は出さないようにしているんだそう・・・・終始一貫されたその彼の振る舞いは、どこまでも本物で、プロ意識の高さを物語る。
「I love you」と、何度も何度もスタッフやダンサーたちに囁くマイケルの優しい声が耳から離れない。
嫌な事が続いていて、時に「こんな時代に生まれなきゃ良かった」なんてチラッとでも思っていた私だけど、そうではないね・・・・
同じ時代に生まれて、彼と時間を共有できたことは、幸せ以外の何ものでもなかったんだと、与えられていた幸せに、遅まきながら気がつく私。
一つ気がつくと、あ、そうだと取りこぼしていたものすべてに気がつく。
あれほどの地位に上り詰めたマイケルは、驚くほど穏やかで静かで、周囲に感謝している人だった。
でも、決して妥協はしない。
ほんの少しのテンポの狂いも、音の柔軟さも・・・・自分のイメージどおりのものを作り上げる為のこと・・・・言葉はとても柔和だけど、言ってる内容は厳しい。
偉くないのに偉そうにしてる私は、彼と比べると、内心しくじくたるものがあった(まあ、比べるのもどうかという開きはこっちに置いといて!と・・・^_^;)。
エンドロールが終わっても、私はまだ、彼の世界の中から抜け出せずにいる。
10代や20代の時のように、黄色い声をあげて「キャー!」とはもう叫べない歳になったけど、代わりに深い感動を、胸の中に長い間留めて、何度も何度も大切に思い出すことができるようになっていた。
彼の音楽を通して伝えたかったことを、そっともう一度心でなぞってみよう。
一度で分からなければ何度でも・・・・
自分で考えられるようになるまで・・・自分のメッセージとリンクして、自分の言葉として話せるようになるまで・・・・
涙をこぼせるほど、好きなものなんて、そうそう見つかるものじゃない。マイケル・ジャクソンというクリエーターの作り出す世界観と心の底にある人としての温もりに、しばらく浸っていようと思うのんちゃんです・・・

エンドロールのあとのメッセージと映像もとても素敵でした。あと2日ですけど、もし観られる方がいらしたら、どうぞ、最後の最後まで席を立たずにご覧になってください。