横浜の古いバーが閉まるというので
最後のお別れに。
店の前にはずらりと人の列。
店内にも食事を待つテーブル席の元不良たち。
オーダーが多すぎて厨房はすでにパニック気味。
なんだか不思議なラストナイトだ。
小さい頃からよく通ったという人が、
昔の話をしてくださらなければ、
ちょっと照明の暗すぎるビストロかしら、
と思うような盛況ぶり。
本当はいつ来てもガラガラで、
ビロードのカーテンの向こうの、
青く光るカウンターで酒を飲むくらいで。
でもここ1週間は連日この騒ぎ。
最後まで忙しくて何より、なのかなあ。
少しおしゃべりをして引き上げる。
なにかが終わるとか、人と会えなくなるとか、
いかにもそういう季節と思う秋の虫と秋の風が、
埠頭近くのぽっかり抜けた夜空に舞っている。