8月26日(土)考える道具

考える道具。
パソコンのことを、とある年配の女性がそう表現した。

彼女は、今まで手書きでモノを書くのに、
自分はなんて要領が悪いのだろうと思っていたそうだ。
書いては消し、書いては消し。
消しゴムのカスと紙くずだけが増えていく。

ところが、パソコン上の画面に、
文章を打ち出すようになってから、
心の中の自分のつぶやきを書き散らし、
あとで簡単に練り上げることができる自由さに驚いた。

頭の中の延長みたいなのよ、と彼女は言う。
文章をプリントアウトできる便利さよりも、
考えることを助ける道具だということがよくわかった、と。

ホモ・サピエンスとは知恵あるヒト。
過去数回の脳容量の劇的増加を経て、
考える能力を進化させてきた。

今度は自らの頭ではなく、道具を“頭化”している。
これってあとでふりかえると、歴史的なグランドシフトかも。
それが進化なのか退化なのかは、おおいに考えるとしても。