連日猛暑ですが、
立秋も過ぎたことですし、
ひとつ無理矢理、秋を感じてみましょう。
目にはさやかに見えねども、
どこかで季節の端切れを探している…
そんなまねをするのも、
私たちの抱える二十四節気の暦が、
ある意味、仮想であることの、
いい証拠かもしれない。
太陽という名の理想を受けて、
地球という名の現実が動く。
ふたつの間には埋めがたいギャップがあるから、
現実は理想に近づこうと一生懸命。
太陽はとっくにハンドルを切ってる。
立秋のコーナーを回ってる。
地球も必死にハンドルを切る。
でも今やっと夏至あたり。
黄道の角度差でいえば、
だいたい45度分くらいかな、
季節感がずれていると思う。
1年のサイクルでいうと1/8ほど、
地球の現実は遅れている、という感じ。
でもこれくらいが、
ちょうど微妙にヴァーチャルリアリティの成立する、
アングルなのかもしれない。
アナグラフ(脳に立体映像を結ぶ二重画)は、
斜め45度で見る。あるいはその角度に鏡を置く。
すると人間には、
あたかもそこに本当にあるように、
フワリと浮かび上がって見えるのだ。
天空の移ろいを感じ取る、
繊細な心の襞々が。
つかず離れず距離角45度を、ゆかしさで埋める。
永遠に追いつけず、切なく、慕わしく。
そうそう、そういう恋こそは、
幻の最たるもの、
と、思い出さなくてもいいことまで、
思い出したりしている。