長くお茶をなさっている方と、
ふとしたことからスペインの布の話をする。
アンダルシア、カタルーニャ、ガリシア、バスク…。
いろんな言葉をしゃべる人々がいて、
いろんな文化の違いがある。
色彩感覚も違う。
布ならば、袱紗にできるものがよい、とおっしゃるので、
私の知っているカタルーニャの布はそういう用途に沿うかどうか、
わからないけれど、一見の価値はありましょうと答える。
素朴でパキッと明るいプリズムカラー。
でも取り合わせには、久谷に似た毒っ気があります。
と、申し上げると、すぐにああとうなずかれる。
そういえば金沢には、
なぜかステンドグラスのはまった古い建物が、
いくつかあるんですよ。
一度機会があれば、見てらっしゃるといい。
ふと思い出して、
そんなことを教えてくださる。
お茶。
焼き物。
ステンドグラス。
マルチカラーの布。
キリスト教。
カチリと組み合わさるものがある。
感覚が伝わって、
それのみが別の地で再生する。
媒体は、たとえば布からガラスに乗り移り。
かたしろの聖なる血は茶に置き換わり。
そうやって神出鬼没、
時空を超えて世界を飛び回っている「感覚」とは、
何者だろう。
感覚の背中に乗り、
一緒に飛べたらさぞや愉快と、
ひとしきり話に花が咲く。
麒麟のような、龍のような、
幻獣がチラとこちらを見ている。