SEXを分けるもの

ふと、夜中にテレビで、生物の「メス化」と言うテーマの番組を見る。
魚がメス化する理由を、イギリスではもう、ずっと調査をしているのだ。

結論から言えば、人工の化学物質もあり、でも、私達の体から出る「女性ホルモン作用」はもっと強力だということだ。
特に、ピルなどを常用している場合の尿からの検出量はかなりのものらしい・・・・。

そんなにも私達は自然とリンクしている。
環境さえも変えてしまうほどに・・・。
排水を集めてしまったがために、濃度は濃くなり、発症率が高くなるのだ。
途中で性転換する魚の割合など、他にも勉強になることをいろいろはさみながら、話が展開されていくけれど、私の頭の中に残ったのは、人が生まれた時から「性」が分かれているということだ。
どういうものか、ヒトの社会でも最近、自分の「性」が違うと思う、そのことでとても苦しんでいる人達がいるということがよくマスコミで取り上げられる。それがすなわち魚と同じという短絡的な結論へと持っていくのは早計だと思うが、私たち自身の毒で私達が汚染されるという、当然の結果をある意味認めなくてはならないのではないか・・・・?
天に向かってつばを吐けば、自分に戻ってくるのだ・・・。
人工の物にしても、私達が便利に暮らすために開発されたものの成れの果てなのだから、本来文句も言えないのだ・・・。

ただ、日本の政府と、イギリスの政府との違いは顕著だった・・・。
怪しい人工の合成物質は、危険とみなされた段階で、全面使用禁止となった。
まだ、その作用が良く分かっていない時期に・・・・。
にも関わらず、メス化が止まらなかったから、私達の女性ホルモンのせいであるということがおぼろげながら分かってきたのだ・・・皮肉なことに、ヒトから出る女性ホルモンのほうがはるかに作用が強力であったのだけれど・・・・。
ピルを使って、出産を調整するということは、自然の営みとかけ離れたところにある。
ある、一部のヒトにとってはそれはとても便利なものだろうが、大きな自然のサイクルから見れば、ばかばかしいことであるに違いないのだ・・・。
子孫を残せるチャンスをむざむざ捨てるのだから・・・。
私達は、自然をコントロールしているような錯覚を起こしながら、自然から見放され、取り残されているのではないか・・・?
だからと言って、ヒトは手にした文明を今更捨てることは出来ない。できないからと言って、このまま、軌道を逸し続けることは、多分不可能だ。
そろそろ、私達自身の手で、この流れを自然に沿わせることをしなくてはならない。

「性を分かつ物質」は、決して悪いものではない。
私が女性でいるために、子孫を残すために、個体を守るために、必要不可欠なものなのだ。
ヒトの使い方次第で、鋭利な武器になる。
静かに、音も立てずに、私達の体に入り込み、体の機能を狂わせる。
物質自体に悪気も敵意も故意もないから、実に自然に進入してくる。
既に、魚類のいくつかはそうして狂わされた。
今のところ、陸上の動物に、そこまでの顕著な変化はないという公式発表だったが、未来は分からない。
マウスに出ないから、ヒトに出ない保証もない。
まだ、本当のことは結局のところ明確には分かっていないのだ。
足元を見ない人達が狂わせたシステムを、足元を見てしまったヒトから、直さなくてはならないだろう・・・。