菌たちの進軍

東京から高松の帰りの飛行機。それは日曜日のこと。
春休みと言う事もあって、混み混みだった。

どっこいしょ、ごめんなさいね、という感じで、えっちらおっちら自分の座席にたどり着く。
予約の時にはすでに、ほぼ満席で、通路側が取れなかったので、仕方なく通路から2つ目の座席をとった。
詰め込まれたすし飯のように、ぎゅうっと人だらけ・・・。

隣に、サラリーマンとおぼしき50代くらいの男性が一人。
くしゃみをしていた。
最初は手も沿え、申しわけなさそうだったが、やがて、回数も増え、彼は開き直ったのだろう・・・もう、堂々とくしゃみと咳を繰返し始めた。
手荷物は、残念ながら座席の上の荷物入れの中・・・。
「しまった!」と思った・・・。
バッグの中には「エッセンシャルオイル」を入れているが、今の私は武器を取られた兵士のごとく・・・・丸腰だ。
1時間と20分、その方と隣り合わせ。

飛行機を降りる頃には私の鼻がむずむず・・・。
喉はヒリヒリ・・・・。

うつってしまったようだ・・・・あの人の風邪・・・。

迎えに来てくれていた主人の車に乗り込むや、バッグを開いて「ティーツリー」を原液で、リンパ節と鼻の下、のど、、あごに惜しげもなく、たっぷりと塗りつける。
ちょっと、自分の免疫力が弱っていたから、付けこまれたのだ。

菌は、まず、あの男性の体にふと取り付く。
なんとも繁殖媒体に適した体だったのだろう・・・。
免疫力は弱り、どこからでも入り込み、そこで次々自分の遺伝子を残すために増える。
増殖し、繁茂し、そして、次のターゲットを探す。
そのために、充分に育ったやつらは主にくしゃみや咳を出させ、外へ飛散して出て行く。

運悪く私はそこに居合わせてしまった。
そして同じように、取り付き、増えようと触手を伸ばし始めた・・・。

でも、残念ながら・・・・私は一旦受け入れながら、彼らが私の体の中で増えられないようにする術を知っていた。
鼻とのどまでは、何とか入り込めたやつらだが、それより先は通さない。
定期的なティーツリーの投与で、入り込んだやつらは、動きが取れなくなっている・・・私の免疫力が突然上がったから・・・それ自体にも殺菌効果があって、増えるどころの騒ぎではない。
その上、家に着いたら、熱い風呂に入るから、体温は上がり、寝るときにもマスクを携帯・・・自分達の好む環境もすっかり崩される・・。

まだいる・・・私の体の中で、確実にチャンスを狙っているようだ。
でも、許さない、それ以上動く事は。
だから、また精油を塗る、マスクに垂らす、体を決して冷やさない。
ビタミンCも、ここぞとばかりに大量投与する。
ハーブティーでもサプリでも。
最近はめったにサプリを摂らない私だけど、ここは勝負どころ。
負けるわけには行かないから、かなり多めに摂る。
乳酸菌も一緒に・・・。食後にきっちりと。
少しでも油断をすると、あっという間に悪化するくらいのタイミングを感じるから・・・。

今日のお昼から随分とおとなしくなった・・・でも、まだまだ油断は禁物。
本当に大丈夫、と思えるまで、これでもかとコテンパに攻撃を続ける。
白旗を揚げても信じたりしない。
確実に仕留めたと分かるまでは、手を緩めたりしない。こういうときは徹底的に・・・。
マスクにユーカリも追加。更にのどが穏やかになる・・・・。

今度から、どこかに移動する時に、マスクは必携だ。
自分に言い聞かせる。
あさってまでには、私が全面勝利を収めるはずだ。

うっかりと、年末はやつらの大勝利にさせてしまったけれど、今回はそうはいかない。

「必勝」を掲げて、なにがなんでも退治する。