南部フランスにいる。
スペイン・カタルニア地方に近いせいか、標識や町の案内は、
仏語とスペイン語で書かれている……と思ったら、
スペイン語ではなく、カタルニア語なのだった。
カタルニア。
スペインのその土地に、
いつか行ってみたいと思うせいか、
近くに来ただけでちょっとドキドキ。
それにしても水が硬い。
重曹水を作ると、それだけでなにか浮遊物が見える。
石けんは日本の倍の量入れても泡立たない。
すすぎの水に触れたとたんにカスになる。
いったいどれほどの硬度なのだろう。
試しに少し口に入れてみると、苦い。
ひええ、にがり水を使って生活しているようなものか。
なるほど、ドラム式の発明はしごく道理で、
洗濯に水をなるべく使いたくないわけだ、とひどく納得。
郷にしたがって水の使用量を極力少なくし、
コットンの小物を洗濯してみる。
さきほど見た石けんカスの量からして、
ここではビネガーによるリンスが必須。
それも強いリンスをしなければ。
クエン酸をもっと持ってくればよかったと、
一日目にして思う。重曹も大事だけれど、
これほど水が硬いと、
ビネガー類のほうがもっと大事。
そういえば以前、
ベルギーの日本人会からメッセージをいただいたとき、
『魔法の粉ベーキングソーダ』よりも『魔法の液体ビネガー』のほうが、
生活の改善に役に立っています! とおっしゃっていたっけ。
あちらもきっとものすごく水が硬いに違いない。
家事において、私たちは、
汚れと戦っていると思っているけれど、
本当は違う。
ほとんどの鍵は、水だ。
水の中のミネラルをコントロールできれば、
汚れなどかわいいもの。
敵の数にも入らない。
そんなことをつぶやきながら、
夜中に、怪しげな手法で、
興味深げに洗い物をしている変な日本人、
なのでした。