4月27日(木)海と呼吸

動画関連打ち合わせ。
バックグラウンドに音楽を流すとしたら、という話になり、
とっさに曲は思いつかなかったものの、
ぜひ入れてほしい「音」にはすぐ思い当たった。

サラサラ、
寄せては返す波の音。
波打ち際の音。

北の海のザッパーンッ! っていうやつは、
それも確かに波打ち際だけれど、
さすがにBGMにはうるさすぎると思うので、
ハワイくらいの砂浜で、
ササササーッ、くらいのはどうでしょうか、
と、身振り手振り交えて伝える。

単にイメージで言っているのではなく、
波打ち際は象徴的なのです、と話す。

その音は、陸から流れ込む汚れに海が初めて出会い、
浄化のプロセスを開始する最前線に生まれる。
人の眠っているときの呼吸のリズムにもよく似ている。

海と呼吸。

実はどちらも、
重曹をキーワードにつながっている。
最もおだやかで、しかし、だからこそ、
この星とそこに住む生命にとって、
必須の基幹システム。
それがなければ、
一瞬たりとも定常を保てないほどの。

耳からも、無意識のうちに、
その二つがつながるといいな。

むずかしい理屈を、
全て理解して欲しいとは思っていない。
きっとどこまでいっても、
科学の言葉で理解できないこと、
というのはあるのだろうし。

まず、感覚でつながることができれば、
すごくステキなことだと思っている。

ある日、
それまでの知識が全部インテグレートされ、
海と自分の呼吸が同じであることを、
リアルセンスで悟った。

そのときの、
泣きたいような、うれしいような、
やっぱりそうだったのかという、
懐かしい家にやっと帰ったような感情は、
いつまでも忘れがたく、
今も心の中で、
キラキラと輝いている。

OK、ぜひ入れましょう。
その言葉を大事におし抱いて帰途につく。
フーッとついた大きな息が、
幻の砂浜に吸い込まれていく。

さて、音楽は何がいいかな。