オーガニックコットンの、
ニット帽と襟巻きをして出かけた。
繊細な花模様が、
タオルとガーゼのくたくた服を、
パジャマ着て出かけました? みたいでなく、
ちゃんとよそゆきの表情に変えてくれる。
それも、とりすましたよそゆきじゃなく、
優しくてやわらかい、
とびきりナチュラルなドレスアップ姿に。
高価なアンティークレースなどで装うと、
女らしくはなるけど、こんな風に自然にはならない。
土の香りがする、不思議なニットレース。
一日、いろんな交渉事や資料の整理に追われる。
最後に打ち合わせに行った先で、
少し悲しい話になる。
人は、どうしてすれ違うのだろう。
おおーい! 聞こえてますかー?
星々の軌道が少しずつズレていくように、
なすがままでお互い努力しなければ、
一緒だったはずの恒星系をいつの間にかはずれ、
一人、違う重力圏に引き込まれることだってあるんだよ。
それを運命と受け入れるときもあるだろうけど、
人という星は、心のパワーで軌道を変えていくことができる。
修正のタイミングを逃さなければ、
離れることも、離れないでいることもできる。
そこが夜空の星とはちょっと違うところなんだ。
もしかしたら、実の星々もそうしているのかもしれないけどね。
呼びかけは虚空に消え、
帰らなくてはならない時間が来る。
これだって軌道みたいなものだ。
外に出て、ニット帽をかぶった。
誰かが頭を撫でてくれているみたいだ。
そっと、なぐさめるように。
この星で生まれ、
心を込めた人の手により、
この上ない自然の美を顕し、
またこの星に帰るコットンニット。
少しだけ泣いている私を包んで、
ふんわりと、温かい。