4月8日(土)こごみかがむよ、かがむよこごみ

農場のはずれのフカフカの枯れ草のあたりに、
こごみの群生地があると聞いて、
株分けを乞いにうかがった。
庭でも十分育つ山菜だというので、
新しい畑の隅に移植してみようと思ったのだ。

夕方の優しい日差しを受けて、
こごみたちが足の踏み場もないくらい、
あちらこちらで芽を出していた。
こごみ
くるっと巻いて一株から数本、
垂直に立ち上がっている。

手でポキポキ折ってゆでるに供する人、
手頃な株をスコップですくう人。

最初の年は、植えてそのまま育つに任せるんですよ。
当たり前ですけど取って食べちゃうと、
次の年に芽を出す力が溜まりませんからね。
それから、こごみの根は横に張りますから、
周囲に少し余裕をもって植えてくださいね。

庭番のおじいさんのアドバイスを聞きながら、
いくつもいくつも株を分けてもらう。
いきなり群生して、集団で生き延びる作戦。
がんばれ、こごみ!

おじいさんは、最後にもうひとつ教えてくれた。
こごみという名前は、クルクル巻いてかがんでいるような状態から、
名付けられたと思いますよ。別名クサソテツ。
巻いているのが延びて、やがてソテツのようにすっと広がり、
シダ類らしい姿になります。

アクはなく、虫もつかず、春にたくさん芽を出し、
きれいな夏草になり、根を張り増えていく。
古い野生の植物ってエラいなあ。

畑のプロフィールを考えているが、
今日のことでますます、
極力、そういうヤツらを集めようと心を決める。

半野生、半畑。

ヒトが手を入れなくなっても、
そのまま自然に帰っていくようにして、
ほんのひととき、謹んでその土地を預かろう。

それがいい、それがいい、と、
うなずきながら暗くなる農場を後にした。
こごみたちは、夜明けに畑に移った。