中国山地に取材旅行。
予想はしていたものの、電波がほとんど通じない。
道路はすみずみまで立派だし、
今いるところは本州の一部であって島ではないけれど、
現代において“陸の孤島”とは、
ネットにログオンできないことではないか、交通の便ではなく。
などとブツブツ言い、明らかに電波禁断症状なのは、
旅メンバー3名のうちの約2名、次兄と末妹。
アクセスできないのに抱えているパソコンは、
いまやライナスの毛布状態だ。
それに比べ、長兄は泰然自若。
美しい景色を堪能し、風の香りをかぐこの兄に、
何事もゆったりと導かれて旅は進む。
さすがに3日目にはあきらめムードの末妹。
なにしろモジュラージャックという名の一縷の望みを、
黒電話に打ち砕かれ(カプラーでもあれば別だろうが)、
そうでなければそもそも部屋に電話などない、
という徹底した鄙ぶりに跪かざるを得ず。とはいえ次兄は、
今日もちょっとでもつながるとまだじたばたしている。
この旅の最初に見た海辺の風景。
この美しい波打ち際をそれぞれの魂に刻み、山に向かう。
ひととき外世界と切れ、貴重な深呼吸の時間。
ええと、この3日間、
連絡が着かなかったり、
遅いなと感じていた方々ゴメンナサイ。
明日よりは、平常運転に戻ります。
あの波打ち際を抱え、
心新たに舞いまする。