表参道および神楽坂で打ち合わせ。
表参道は、地下鉄の出口からヒルズに向かう道が、
次第に正月の参道のように人であふれてくるので、
このままではどこに行っても座れなくて悲惨かも、と、
逆方向に引き返す。うーむ、一年くらいしたら行きましょう。
神楽坂は、ちょっと小道を入った先にある、
しっとりとした小料理屋風のお店が、
ことごとく予約で満員。予約してもよかったが、
前は飛び込みで十分大丈夫だったところも、
事前ブッキングの客でもれなく埋まっている。
世の中、景気いいみたいですね。
本当に。
と、確かに肌で感じ、頷き合う。
そういえば、
家庭用ベーキングパウダーは、
それが売れなくなると景気がよくなるそうだ。
逆に、売れるようになると、そのあと決まって景気が悪くなる。
これまで幾度も好不況の波を経験してきたS部長の言だ。
同じパターンを3回くらい見ているという。
で、今は?
ハイ、今年の初めから急に売れなくなっていますよ。
うわー、やっぱり景気いいんだー!
思わず合点のあまり叫んでしまった。
しかし。
景気がよくなると、みんな家でケーキを焼かなくなる。
そんな単純なハナシでいいのか。
でも、総体的にそのパターンがはっきり見えるならば、
物事は、その通りなのだろう。もちろん個別には、
「景気がよくても私は断固ケーキを焼くわよ」という人がいるにしても。
統計や確率の言葉は、個人の希望や夢、欲望を、
ローラーで押し潰したようにおしなべる。
でもそうやって凸凹をならしたところに現れる一つの模様もまた、
とても正直だ。
最後に、敢えてもうひとつの仮説を提出。
今回、家庭用ベーキングパウダーが売れなくなっているのは、
ベーキングソーダと粉状の酸を自在に組み合わせて、
自家製ベーキングパウダーをスマートに作る人が増えたから。
S部長、枯れ木も山の賑わいじゃなかった、
何事も気は心というわけで、
ひとつこの説、どうでしょう。