3月21日(火)収まらなくても収めて

祝、WBC日本優勝。
経緯を見守っていた人も、見守らなかった人も、
この結果には感動したのではないか。

露骨に勝ちに行く態度を示し、
フェアネスの伝統精神すらねじ曲げて、
負ける余裕を失っていたように見えるアメリカ。

スポーツで国威発揚すれば徴兵免除もありうる現実と、
歴史的経緯も手伝い、痛々しいほど剥き出しの闘志を見せた韓国。

様々な国の思惑が交差する中、
コンマ1の差で優勝決定戦のチャンスを手にした日本は、
キューバとともに本当のフィールド・オブ・ドリームスを見せてくれた。
アマチュア野球しかない国、キューバの選手たちが、
最も紳士的で、このスポーツを単純に愛している者たちの志を、
素直に具現化しているように思えた。

決勝戦は、だから見ていて涙が止まらなかった。
さわやかなファイトだった。両軍ともに、久々に。
「すがすがしい」という言葉の意味を改めてかみしめた。
選手たちの、とりわけ強い光を放つ瞳が印象的だった。

目の前の問題に拘泥しすぎることなく、
それは腹に収めて、収まらなくても収めて、
その先にある理想に向かって営々と歩む。
現在の悩みなど吹き飛ぶ次元に飛翔する。

やっぱりそれでいいんだ、
それしかないんだ、
近視眼的に戦っていても意味ないんだ、
どんなに遠くても、それに向かって歩むことが、
現実の惨めさを救って余りある、
真のエネルギーをくれる。

サムライなど、もういない時代だと思っていたけど、
やるじゃないか! そのことがうれしくて、
ずっと涙ぐんでいた、今日は、
昼の光と夜の闇が同じ分だけ混じり合う、
陰陽反転の日。