3月20日(月)なべて時神さまの御働きにて

3月20日受付分からIC旅券に変わるというので、
本日を待ってパスポートセンターに行く。
ものすごい混み方。
整理券をもらうまでにゾロゾロ立って並んで2時間。
呼ばれて書類審査までにまた2時間。

あり得ない。
ホシ・イッテツならちゃぶ台をひっくり返すところだ。が、
一般庶民は辛抱強く、おとなしく、待ちに待つのであった。
列の少し前に並んだ人が、何度も何度もくしゃみをしている。

夕方から喉がおかしくなってくる。
あれだけの人混み、もちろん風邪菌もいただろう。
とりあえず、仕事場に常備のポピヨンヨードで急いでうがいする。
帰宅後は、再度ミントで念入りにうがいして、鼻粘膜を洗浄。
ユーカリ入りオイルで首から肩のリンパマッサージを行う。

かなりよくなる。
ビタミンCの大量投与と葛根湯も効いているようだ。
経験上、風邪は自覚症状が出てから、いかに早く、
有効な手をいくつ打つかが勝負だと痛感する。
ひどくなるまで放っておいて医者に駆け込むのではなく、
始めの、小さなブレのうちに元に戻そうとするならば。

最後は、ゆっくりとたくさんのお茶を飲む。
少し渋めに入れて、たくさん喉に流してやる。
質のよい水分の補給と、呼吸器の殺菌のために。

そういえば、先日乗ったタクシーの運転手さんが、
いつか乗り合わせた医者のお客さんに教えてもらって、
乗客が降りるたびに必ずペットボトルの緑茶でうがいをし、
十年以上風邪をひいていない、と言っていた。
要はやるかやらぬかだ。
そして、一番肝心なのは、タイミングだ。

なににつけても、
時の神ほど、どうにもならぬものはないのかもしれない。
人は、その流れを加速したり、遅らせたりすることはできるけれど、
未だ停止したり、反転させたりすることはできない。一説によれば、
それゆえ、いわゆる人間の記憶力は育まれたかもしれないので、
深く読めば「あかん。どもならんわ」ということが、
万人への恩恵ということもあるのだろうが。

心の痛みは記憶の中に、そう、
二度と手にできぬ思い出の中にある。
たかがニューロンの連なりなのに、
生々しいリアリティをもって頭の中に立ち上がり、
それだけは容易に時を超えて、過去の幻を何度も見せる。
不要なファイルを消去します、とばかりに、
頭にディスククリーンアップでもかけたい気持ちのときがある。
でも、そうすると、きっと私は私でなくなるのだろう。

終わりの時まであらゆる事象を抱えて生きるしかない、人間。
なんと不器用で、かなしく愛おしく、変な生き物だろう。