3月10日(金)何も無駄ではない

卒業シーズンだ。
袴姿の女子大生や、
卒業パーティに連れ立って行くらしい学生の様子など、
街のそこここで見かける。
花束を持ち、おそらく今日が最後であろう仲間たちの輪から、
終電近くなっても立ち去り難くある、
着飾った若い人々が歩道に群れてたたずむ。

それぞれに、バラバラの未来。
「もう引っ越した?」
「朝何時出勤?」
「えー、ウチ残業代付かないよー!」
「いきなり工場で研修だってさ」
今は、一様な不安と希望を抱えて。

就職先は、本当に自分のやりたいことではない、
といいながら、でも最初はしょうがない、と言い切った。
彼らはそういう意味でいわゆる「下流指向」ではないのだろう。
自分のやりたいことができるまでアクションしないという、
無期限留保の選択肢を敢えて選ばず旅立つのだから。

何でもやってみるもんだよ、意外なところで役に立つもんだよ。
そのときはわからなくても、必ずあとで、
何も無駄じゃなかったんだって思えるときが来るよ。

それは一足先にたくさん人生の景色を見ている人からの餞。
きっと、苦しいときの杖になってくれる言葉だ。

本当にそうだなあと思いながら、金曜夜の街を歩く。
今はふり返っても全体が見えないからわからないことも、
わからないまま、楽しくても苦しくても抱えていこうっと。
人と会い、人に触れて元気が湧き、
ようやく、ひどい悪酔いから冷めつつある。

ヤケ酒も無駄ではない、と言いたいところですが、
こればっかりは、胃と肝臓から、
とんでもない、という反論が飛んできそうだなあ。