卒業シーズンだ。
袴姿の女子大生や、
卒業パーティに連れ立って行くらしい学生の様子など、
街のそこここで見かける。
花束を持ち、おそらく今日が最後であろう仲間たちの輪から、
終電近くなっても立ち去り難くある、
着飾った若い人々が歩道に群れてたたずむ。
それぞれに、バラバラの未来。
「もう引っ越した?」
「朝何時出勤?」
「えー、ウチ残業代付かないよー!」
「いきなり工場で研修だってさ」
今は、一様な不安と希望を抱えて。
就職先は、本当に自分のやりたいことではない、
といいながら、でも最初はしょうがない、と言い切った。
彼らはそういう意味でいわゆる「下流指向」ではないのだろう。
自分のやりたいことができるまでアクションしないという、
無期限留保の選択肢を敢えて選ばず旅立つのだから。
何でもやってみるもんだよ、意外なところで役に立つもんだよ。
そのときはわからなくても、必ずあとで、
何も無駄じゃなかったんだって思えるときが来るよ。
それは一足先にたくさん人生の景色を見ている人からの餞。
きっと、苦しいときの杖になってくれる言葉だ。
本当にそうだなあと思いながら、金曜夜の街を歩く。
今はふり返っても全体が見えないからわからないことも、
わからないまま、楽しくても苦しくても抱えていこうっと。
人と会い、人に触れて元気が湧き、
ようやく、ひどい悪酔いから冷めつつある。
ヤケ酒も無駄ではない、と言いたいところですが、
こればっかりは、胃と肝臓から、
とんでもない、という反論が飛んできそうだなあ。