3月7日(火)こんな時間

昼から夜にかけての時間にひととおり、
外との連絡や相談のキャッチボールが終わったら、
次に投げるボールを用意する作業が待っている。
その間にゴハンも食べなくちゃ、とか、
今日中にココに行かなくちゃ、とか、そういうことを、
お店が閉まる前に飛び込んでドタバタとこなす。

気がつくと夜半を過ぎている。
起きているとしたら、月とふくろうと私だけ、というような時間帯……。

夜中に書いた手紙はどこかしら高揚してロマンティックで、
朝目覚めて読み直すと気恥ずかしい、というような事態は、
久しく訪れない。昼も夜ものっぺらぼうな状況。

日本の昔話の中に、夜中の外出中、泣いている娘を見かけて、
「こんな時間にこんなところでどうした」と話しかけると、
娘は顔を上げ、その顔は目も鼻もないのっぺらぼう、
仰天して夜鳴き蕎麦に駆け込んだら、亭主の顔ものっぺらぼう、
その後も会う人会う人みんなのっぺらぼう、
帰ったら家族ものっぺらぼう、という物語がある。

ずっとフラットな精神状態で朝から夜中まですごし、
その中で発信する乾いたメッセージというのは、
時に人をギョッとさせるのっぺらぼうに似てるに違いない。

眠気だけが唯一の「湿り気」だ。
なんてことをキーボードを叩きながら考えているうちに、
ああ、もうこんな時間、寝なくては。

のっぺらぼうたちは、朝日とともに消える。
願わくば、その程度の悪夢であらまほしき。