春までの緑の少ない時期、
サラダに入れると美味しい野菜に、
マーシュという、ちょっと見、雑草のような、
地味な丸い葉っぱの野菜がある。
いくらでも増え生えて、冬の食卓を彩ってくれる。
この葉っぱ、別名ラプンツェルという。
その名に聞き覚えがある。
高い塔に閉じこめられた長い髪の女の子。
その子を身ごもっていたとき、
隣の庭のラプンツェルを食べたくて食べたくて、
母親はつい盗み食べしてしまった。
庭の持ち主だった魔女は、
ラプンツェルの代わりに赤ん坊を要求した。
ドアも階段もない塔の下から、
魔法使いがラプンツェルに髪を垂らすよう言う。
長い長いその髪を伝い、塔に登ることができる。
痛くないのかな、髪の毛ひっぱられて。
幼いとき、童話を読んで、
それが疑問だった。
ラプンツェルの根を見ると、
ラプンツェルの髪を思い出す。
物語のように美しい金髪ではないけれど、
しっかりと冬の大地にふんばって元気だ。
ところで、言い伝え通り、
ラプンツェルは妊娠中に良いらしい。
日本名を野萵苣(ノヂシャ)といい、
ビタミンや鉄分、葉酸が豊富だという。
今朝はスープに入れてみました。
くたっとした食べ心地もなかなかのもの。
おみそ汁に入れてもいいそうだ。
ラプンツェル、なかなかに懐が深い。