3月4日(土)塔の中の女の子

春までの緑の少ない時期、
サラダに入れると美味しい野菜に、
マーシュという、ちょっと見、雑草のような、
地味な丸い葉っぱの野菜がある。
いくらでも増え生えて、冬の食卓を彩ってくれる。

この葉っぱ、別名ラプンツェルという。
その名に聞き覚えがある。
高い塔に閉じこめられた長い髪の女の子。

その子を身ごもっていたとき、
隣の庭のラプンツェルを食べたくて食べたくて、
母親はつい盗み食べしてしまった。
庭の持ち主だった魔女は、
ラプンツェルの代わりに赤ん坊を要求した。

ドアも階段もない塔の下から、
魔法使いがラプンツェルに髪を垂らすよう言う。
長い長いその髪を伝い、塔に登ることができる。

痛くないのかな、髪の毛ひっぱられて。
幼いとき、童話を読んで、
それが疑問だった。

ラプンツェルの根を見ると、
ラプンツェルの髪を思い出す。
物語のように美しい金髪ではないけれど、
しっかりと冬の大地にふんばって元気だ。

ところで、言い伝え通り、
ラプンツェルは妊娠中に良いらしい。
日本名を野萵苣(ノヂシャ)といい、
ビタミンや鉄分、葉酸が豊富だという。

今朝はスープに入れてみました。
くたっとした食べ心地もなかなかのもの。
おみそ汁に入れてもいいそうだ。
ラプンツェル、なかなかに懐が深い。