2月26日(日)何もかもかなぐり捨て

一日勉強会。
しかし朝目覚めると、
会の開始予定時間まで70分しかなかった。
まただ。やられた。

この、70分というのが、
目覚めを司る無意識の得も言われぬ芸当で、
その瞬間飛び起き、
「何もかもかなぐり捨てて一生懸命がんばれば」、
ビッタリ予定時刻に間に合って到着すると予測される、
ギリギリの逆算タイムなのだ。
こんなふうにたまに目覚まし時計(これはもっと適切な余裕をもって
セットしている)を無視して眠っていたようなときはいつも。

うーむ、憎い。
憎いぞ自分!

寝ぼけ顔のまま、リュックサックに必要な資料とパソコンを詰めて、
家を飛び出す。とはいえ同じ一つのリュックに、
スタッフ皆さんにお持ちするために昨晩仕込んだ、
いりこ醤油の大きなタッパーも入っているので、
駅の乗り換えも極力飛び跳ねず、体が水平に移動するように、
すり足で小走りに移動する。おばかな忍者みたいだ。

「何もかもかなぐり捨てて一生懸命がんばり」、
予定時刻数分前に会場に到着すると、
もうSatoさんとQさんが玄関先でお待ちだった。
冷たい雨の中、遅刻しなくて本当にヨカッタ……。

勉強会はkaoriiikoさんの新講座に関するブレストに始まり、
充実した内容で進んでいく。ときどきネットにアクセスし、
必要な情報をサーチしながら私もディスカッションに参加する。

パソコンを操作しながら、
右手の親指にかすかなしびれ感を覚える。
原因はわかっている。昨晩、いりこ醤油の準備をしていたとき、
微細ないりこの断片が親指の腹に刺さって抜けなくなったから。

雑味のない、すっきりかつ濃厚なダシ醤油を作りたかったので、
いりこは頭と胴を別にし、頭の後と腹のワタを取りのぞく。
200グラム分のいりこを一匹ずつそのように処理すると、
だいたい160gくらいになる。フライパンで頭と胴を別々にからいりし、
ビンに合わせて詰めてひたひたに醤油を注ぐ。

いりこ醤油は魚と昆布ベースのラーメンつゆ研究に供した。
おおむね好評だったが、残ったいりこがもったいない気がしたので、
夜、帰宅したあとそれと昆布でもう一度ダシを取る。
3リットルほど取れた。しかもしっかり醤油味がついているので、
もうそのまま煮物汁物に使える。今週は出汁リッチだ。

親指のしびれは、夜になっても続いている。
少し熱を帯び、免疫反応をおこしている。
でも朝よりも少ししびれは軽くなっていて、
私の肉に押し込まれたいりこが、
少しずつ溶かされていることを感じた。

これもいりこを食べていることになるのかなあ。
親指で、ゆっくり食べるいりこ。

あと1日もすればこのしびれも消えるのだろう。
たくさんの命をいただいている感謝と痛みを抱きつつ、
はい、確かにおっしゃる通り、
何もかもかなぐり捨てて一生懸命がんばります、と、
無数のお魚に話しかける。
その向こうのプランクトンにも。
そのまた向こうの海と地球にも。