2月21日(火)G.Gershwinと歩いた

今トウキョウで一番好きな街は、と訊ねられたら、
アキバとシナガワと答える。
どちらも街の過去と未来が極端に交錯するところがいい。
高層ビルに中空から出入りするIT・金融の新興企業族。
その下の地べたをごちゃごちゃ埋める大小の商店、外国からの客。
車も通れない細い道にやたら人があふれる。

そのアキバを数時間ウロウロ。
いくつか買い物の目的があるが、
ちょっと前にホッと腰をおろした記憶のある店が、
「ご主人様お帰りなさい」と、
突如メイドバーに衣替えしていたりして驚く。

1年前はうらぶれた通りにポツンとあったインド料理屋さんは、
今やサラリーマンで行列のできる繁盛店に変わっている。
腕のいいオーナーシェフ、ラジさんはこういった。
「私この半年で30kgやせました。見て背中。何も肉がない」
これぞホントのやせ我慢。
しかし最初は閑古鳥に見えても、やがて大勢の客がやってくる。
その先見の明こそ、古い文明の宝。
ラジさん、最近は少しは太れたかな。

最後に、モノのついでと、
耳からよくとれて気になっていたイヤフォンを買い換える。
店員さんオススメの閉鎖型。
目立たず収まりのいいタイプ。
とたんに世界は音だけになり、
頭の中、ガーシュインが駆け回る。

本日の気分でなにげなく朝ピックアップした。
このままほかに何も見ず、聞かず、
このジャジーな世界に溶ければさぞ気持ちいいだろうな、
などと考えていたら、しばらくおとなしかった携帯が、
なぜか急に何度も大声を出すわ震えるわで、
現実に戻ることをキビシク要求するのだった。

ナーダ・ブラフマー(世界は音)。
いろんな響きを聞いている。
美しくても美しくなくても、
そう感じるわけを考える。
響きの来し方、行く末を見つめて、
9thくらいまでなら私もセッションできるかな、と思う。

そうか。
アキバもシナガワもガーシュインしてるんだ。
調子っぱずれギリギリの線で過去と未来をサーフィン。

やっぱ好きだなあ。