2月14日(火)シアワセな時間

午後の予定がひとつ吹っ飛んだので街に出る。
駅一つ分歩こうとして、早々に本屋に吸い込まれ、
結局4時間もいてしまった。
電話がかかってこなければ、
きっと閉店までいただろう。

買おうと思って腕に抱えた本のほかに、
立ち読みを何冊も続ける。各階の面陳、ワゴン、ニッチ、棚差し。
これが楽しい。ブックサーフィンというヤツだ。

老夫婦がひとつ先の書棚の間を通り抜けながら話している。
「しかしまあ、よくも世の中こんなにたくさん本があるもんだ」
「本屋さんで待ち合わせると退屈しませんね」

小さい頃、本屋さんに行きたいときは母に言うと、
特別予算でまとまった額のお小遣いをもらえた。
その枠内でどの本を買うか、たっぷり迷ったものだ。
迷うのも楽しかった。

同じ気持ちでさまよっている。
昔と違うのは、予算を決めるのは自分というところ。
生きることの自由度が増えるのはいつでも痛快だ。
当たり前だけど、大人になって本当にヨカッタと思う。

さて。読むぞー!

人の話に耳を傾ける、
それも注意深く耳を澄ます、
これは才能のひとつだ。
その気になれば誰でも持てる、
天賦ならぬまこと慎み深い努力の才。

いずれ何かの形で社会にお返しします。
そう言いながら、縁あって私のところに来てくれた、
誰かの思索のカタマリを手にする。
いつだってワクワクしながら。敬いながら。