光の量は春だ。
毎年この季節、一年で一番寒い頃にそう感じる。
最も夜が長い日は、去年のうちに過ぎている。
太陽が地球を暖め始めて、地温が上昇するのに、
約2カ月のタイムラグがある。
大きいからなあ、地球。
大きいひなたぼっこ。
ビルから出てきたとき、地下鉄の階段を上りきったとき、
思いがけなく強い光のシャワーを浴びる。
うすぼんやり眠っていた物々の輪郭がはっきりしてくる。
もう少ししたら、苦い野菜を食べよう。
人と話しながら、街を移動しながら、パソコンを叩きながら、
ふと思う。
ヨミガエリの春が連れてくる圧倒的な森羅万象を、
ことほぎ、また、おそれてもいる。
苦みの感覚を抱きしめていなければ、
眩暈を起こすだろう。