残っていたレポートを急いで書いてから仕事場へ向かう。
電車の中でパソコンを広げていると、
左隣のおじさんに、携帯ラジオとハウリングするので、
電源を切ってくれと頼まれる。
やりかけの推敲があるので、困って右隣のおじさんを見ると、
ハイハイ、という感じで席を交代してくれる。
電磁波は距離の3乗に比例して減衰する。
ありがとう、おじさんたち!
夜8時前にはテレビがホリエモン逮捕を伝えていた。
9時半に某ホテル「懐かしの社用族御用達ラウンジ」見学に合流。
もう火を落としていたのに、アワビのステーキを焼いてくださり、
舌鼓を打ちながらエネルギー充電。
アワビは肉よりも火の通し方がむずかしく、
火を通さなくても通しすぎても固いそうだ。
シェフの手さばきに見とれていた。
調理とお客の相手を洗練した物腰で一度にこなす、
それもひとつのスターシェフの姿だろう。
テーブルマジックを見ているようだった。
無意識ということを考える。無意識になるほどの洗練。
そこに至るまでに、一度全てを意識化するプロセスがある。
アワビの動き、油のはじける音、フタを置く時間、ひっくり返すタイミング。
正確に細かく意識すればするほど、後のオートモードは芸術に近づく。
毎日の暮らしを意識化することも、その一環だと思っている。
はやし立て、蜘蛛の子を散らすように逃げる。
話題にすることと、意識化することは違う。
批評することと、意識化することも違う。
見て、感じて、まっすぐに本質を問う。
不動の視点を持てないものか。
最後に飲んだスウィートシェリーは、とてもおいしかった。
うとうとして、友人たちに笑われながらだったけれど。