洗いの水は美しいか

北海道からイクラの醤油漬けが届いた。
昨夕発送され、今朝到着した、
新鮮そのものの赤く美しい光の粒たち。

とりあえず小分けにして冷凍しよう、と思ったけれど、
見たとたん、気が変わってごはんを炊いた。

なんという美味しさ。
お醤油の香りもすばらしい。
まさに命の洗濯だと思った。

朝食のあと、今度は本当にお洗濯。
コースプログラムを組んで重曹を投入する。
スイッチを押しているとき、ふと声が聞こえた。

 洗いの水は美しいか?
 衣々を動かすほどに。

すばらしい経験をして、魂がよみがえるように思うことを、
「命の洗濯をした」というなら、
リアルのお洗濯だって、そのようであるのが理想だろう。

「よみがえり」とは、
死の国から帰ってくることだという。

とすれば…

洗われることこそ、現れることではないか。
魂も、衣も、より美しいものに出会い、清められて、
再びこの世に帰ってくる。

パタンと洗濯機のふたを閉める。
暗い槽の中、突然、水が噴き出す。
重曹が溶け、布にしみわたる。
その様子を想い、自答する。

 うん。わりと美しい水だと思うよ。
 今日も、洗濯物が喜んでくれるといいね。