20分で煮える豆

米、麦、雑穀、豆。
穀類の卸を長年続けてきた方と、
お会いする機会があった。

20分で煮えるという、
超高圧処理を施した白花豆をいただいたので、
さっそくトマトベースの甘口カレーを作った。
じゃがいもやにんじんなどと同じタイミングで、
鍋に入れて煮るだけだ。

あっというまにやわらかくなった塩味の白花豆は、
大きくて食べごたえがあって、ほくほく甘い。
かむほどに、深くやさしい滋味が口の中に広がる。
人気のある理由がわかる。

この味を知ると、砂糖煮にしてしまうのは、
もったいないと思うようになるだろう。
だってたくさん食べられないもの。
箸休めに2、3粒ではなく、いっぱい食べたい。
甘い豆のカロリーを気にするというより、
豆本来の味をもっと感じたくなる。

超高圧処理の黒大豆もスープ煮にしてみた。
これまた美味で、これまで家で、
圧力鍋で煮ていたものともまた違う。
口の中でほろりとほぐれ、豆のこくが強く感じられる。
それでいて、濃いめの豆乳などでときどき感じる、
大豆の嫌味を全く感じない。

これで豆ご飯炊いたらおいしいだろうなあ。

人類が食品加工に圧力を利用するようになって、
まだそれほど時間は経っていない。
熱のほうは、火のおこし方を覚えて以来、
100万年以上の経験があるけれど。

まして深海の底に行っても得られないような、
数千気圧の“超高圧”を応用し始めたのは、
まだ「ついこの間」、1980年代の終わりからだ。

味も色も舌触りもよくなる。
食品自体の調理性、機能性も高まる。
熱や化学物質を使わないで殺菌できる。しかも省エネ。
宇宙食、病人食、非常食、機能食と、
いろいろな方面での実用化が進んでいるという。

一番驚いたのは、
超高圧の人工透析でウイルスを殺し、
血液をきれいにできるという応用ケース。

一時わっともてはやされた真空低温調理法や、
ウォーターオーブン、分子ガストロノミーといった、
新しい調理方法にも驚いたけど、
一見地味でもすそ野の広い基礎技術が、
身近にいつでも私たちの手の届くところにある。

それってとってもいい感じ。

さて次はひよこ豆と虎豆かな!
どう料理いたしましょうか…(^^)