重曹のグレードについて

このところ、
重曹は食用と工業用ではどう違うのか、
という質問をよく受ける。
年末の大掃除シーズンが近いからか、
工業用は安いので、大量に使うならそのほうがお得と、
考える人が多いのかもしれない。

もともと欧米で家庭に普及している重曹は、
工業用レベルのものはまったく見かけず、
すべて食用レベルのものだ。
焼き菓子のためのソーダ、それがベーキングソーダなのだから、
当たり前の話でもある。
だからこそ、口に入っても、体に触れても安心な、
家庭でのやさしい利用方法がたくさん生まれた。

食用レベルというとき、
それは工業用より一桁上の純度を保証するだけでなく、
それが作られる工場に食品の取扱責任者がいるということ、
食品としてコンタミネーション(混入)への配慮があるということ、
などを意味する。

生活者が賢明な判断をし、
より安く品質のよいものを選ぶ力を働かせれば、
日本でも食用の重曹の価格はこなれてくる。
欧米の現状を見れば明らかだ。

なのでいつもこんなふうに答える。
どんなグレードの重曹をどのように使うかは、
個人の判断なのでまったく強制ではありませんが、
私ならば食用を選びます。

それぞれのグレードの底値を知っている者として、
使い道の広さと安全性と、
その製品にかかっているマージンの低さを考えると、
冷静に食用は一番お買い得だと思うので、と。

逆にいえば、
工業用重曹をおそうじ専用と称して売るならば、
その価格はもっと安くなってしかるべき、
ともいえる。

私たちは日々のショッピングを通じて、
私たち自身の未来の暮らし方を育てているのだと思う。
どんなものを選び、どのように使い、どのように地球に返すか。
できるだけていねいに、
マーケットの淘汰にも関与できればいいなと思う。

さて、今夜も口に入っても大丈夫な重曹で、
お風呂も入り、歯も磨くといたしましょうか。
もちろん、そのついでにハダカでお風呂のお掃除も!