2007年12月23日(日)森の生

用あって、
H.D.ソローを読み直している。

文庫を持ち歩いていたら、
タイトルを読み取った人に、
ああ、あなたらしいと言われ、
そうかな、ずいぶん久しぶりなんだけど、と、
ぶつぶつ独りごちる。

読み直して驚くのは、
そのほとばしるようなエネルギーだ。
他のネイチャーライティングとは一線を画す、
今なお若者の魂を鼓舞してやまない、
熱情に満ちた文章。

こんな感じだったか。
自然を描いた文学というよりも、
この本は自然を背景に、人間に対して叫んでいる。
声を限りのアジテーション。

だからこそ多くの若者(ばか者?)が、
ソローの説く生活に魅了され、
本気でよろよろ出奔した。

第四の革命、
すなわち人間の社会を情報爆発が覆った、
現代に生を受けたとしても、
ソローは同じ言葉でアジるだろうか。
指さす森はあるだろうか。

明け方、頁をくりながら、
時折やってくる猫をなで、
赤い朝日を見ていた。

すぐそばの生き物は温かく、
気まぐれに声を発し、
生まれ落ちてから命を閉じるまで、
まごうことなき森の生を生きている。