サルビアの入浴剤をいただいたので、
重曹を入れたいつものお湯に加えてみた。
子供の頃、サルビアが咲くと、
学校への行き帰り、その赤い花を摘み、
友達と歩きながら甘い蜜を吸った。
サルビアは体を温め、
リラックスさせてくれるそうだ。
冷え性やメノポーズにもよいという。
あの頃の道草の記憶に、
お風呂場で出合うとは思わなかった。
香りは一気に時空をワープさせてくれる。
嗅覚は最も原始的で、
大脳辺縁系に直結しているから、
その刺激は知的な解釈抜きで、
体の反応を呼び起こす。
きっと動物の記憶ってこんな感じ。
連想も解釈もほどこさず、
そのことを体験した時と場所に帰る。
サルビアを吸っていた子供は、
歳月を重ねた今も、
確かにこの中に存在する。
あの花の蜜に似て、
ひっそりと奥深く、
眠っているけれど。