北海道に来ている。
予約したホテルのフロントを訪れると、
都合でファミリー向けデラックスルームにアップグレードする由。
ただ、キャラクターグッズがたくさん置いてあります、とのことだった。
とにかく眠れればありがたかったので、
いいですよ、と答えて鍵を受け取る。
部屋に入ると、
まず迎えてくれたのは、
大きなピカチュウだった。
ぬいぐるみだけでなく、
ゲームやビデオも。
部屋の中のあらゆるところ、
キャラクターで埋め尽くされている。
こんなところも。
思わず写真を撮る。
移動続きで急に気圧や温度が変わったせいか、
頭の芯が少し痛かったのだが、
こうも徹底するとなんだか心なごむもの。
小さな怪物たちと一緒にソファに腰かけ、
奇妙にこそばゆい感じを覚える。
私も彼らに混じり、
人形(ひとがた)となる。
泊まった人が次々とかたどられ、
キャラクターの増殖する部屋、
というのはどうだろう。
ズラリ並んだ怪物たちの末座に加わり。
ひとつとして同じものはない。
そのことに気づくと、
賑やかな彼らは次第に私の知る人々の姿に、
優しくメタモルフォーズしていくのだった。