2月2日(金)待ち合わせはチョコレートショップで

バレンタインデイが近づいたチョコレートショップは、
なんとなく華やいだ気配。大人の雰囲気の店だから、
いかにものディスプレイは全然ないにもかかわらず。

白くあたたかな冬の陽がビルの陰に入っていくまで、
本日、初顔合わせの方とざっくばらんな話をする。

一歩一歩進み続けることが、
三十年後の常識をちょこっとばかり、
変えているかもしれませんもの。
夢は大きく、現は小さく、
でもとにかくやってみましょう。

それから笑顔でではまた、さよならと言い、
ゆっくり街の雑踏に混ざって地下鉄に乗る。

三十年後ならまだ生きてるかな。
どうなったか自分の目で見られるかな。

なにかの大きな流れに乗り、
約束を交わした日は、
いつもそんなことを考える。

三十年など甚だ近視眼的だと思うけれど、
百年、千年の計をもって身を処してきた人々の、
ほんのしっぽをマネしている。

自分の死んで存在しない世界が、
思考のスタンダードであるような、
醒めたエトスを持ちながら、
いっぽうで生きて動く自分の体を、
燃やし尽くすパトスを保つ。

このフラットな世界でこれから力するのは、
たぶん、そのような両刀遣いなのだろう。

そう思ったので私の手には、
バレンタインデイを苦々しく思いながら、
季節を感じ尽くさんがための極上チョコレートが、
ちゃっかり乗っている、んだよね。