アキバの、レアグッズを売っている店を覗く。
スパイ用品とか、軍用サバイバルツールとか、
マニアとおぼしき男性たちが思わず足を止めるような、
すてきな掘り出し物がいっぱい。
こういったものはどこから放出され、
使った結果なにか事故が起こったり、
製品が壊れたりしたら、
誰がケアしてくれるのだろう。
考えてみればPL法そっちのけの世界というのは、
今もいくらでもあるものだ。
誰かに文句のもって行きようがなく、
手にした人が自分の責任のもと、
活用することもトラブルに巻き込まれることもできる世界。
本当はそういうもののほうが圧倒的に多いのだろう。
誰もが知って利用しているような大量生産品に囲まれていると、
何かあればメーカーや公共機関に問い合わせれば、
解決の道が見えてくるように思いこみがちだけれど。
黒い小さな機械の前で立ち止まる。
「あなたの脳波が読み取られるのを防ぎます!」
どこかから電波で命令されるのも阻止するらしい。
ミリタリー仕様の複合コンパス。
「ジャングルからの脱出に!
日常生活にも使えます!」
うーん、そうかー。そうだよねー。
お店の床から天井まで、
あらゆる空間から話しかけてくる、
「非日常」の化身たちを眺める。
人の工夫というのは、
なんと多岐にわたることだろう。
それでもここに並ぶのはパーツや素材に過ぎず、
ここから各人が用途に合わせて使いこなす努力をする。
ショップ会議。
はじめから理想にフィットするものは、
世の中にそうたくさんない。
話し合うことが多く、時間がすぐ過ぎていく。
課題というものも、
工夫の余地満載という意味では、
“非日常”の一種かもしれない。