給食の落とし穴(2009.10.6)

先日、高松の講座で、質問があった。
給食はちゃんとしているかどうかというものだった。
昔、給食を作っていた、という方だった。
言い換えれば、「給食を作る人たちはちゃんとしている」と言えると思う。
計算され、栄養価の表示された食べ物・・・・

「食」で問題になるのは、その素材。

例えば、野菜にどんな農薬をどの時期にどれくらい与えて、残留はどれくらいか・・・と言うことは不明だ。
例えば、お肉や牛乳・・・どこの家畜にどんなエサや薬を与えてどういう経路でここにあるのか・・・・これも不明だ。
例えばお魚・・・どこの海でとれて、どんな風に加工されて、水銀を含め、どんな毒素がどの程度溜まっているのかは不明だ。

どんなにきちんと調理しようとも、素材の出所と正体がハッキリしないことを、私は恐れる。
どんなに作り手が、例えば鉄人だったとしても、素材が危ないものでは話しにならないと言うことなのだ。
モチロン、完全無農薬なんて、この高温多湿で害虫の多い日本では相当に無理だろうと思う。給食のあの値段で作るなんて、ほぼ不可能だ。
だからこそ、正体を知りたいと思うのだ。

ある人が「日本の給食強食だね、強制的に食べさせられるから」と言ったことが、今も心に残っている。
子供は成長期だ。安全なものを食さなければならない年齢なのに、インスタント食品やジュース、ファーストフードが花盛り。
我が家でも、ちょくちょく子供が買ってくるものを完全に阻止することは難しい。
知らずに危険なものを食べている時もきっとあるのだと思う。

新聞に、7人に1人の子供は貧しいと載っていた。
その貧しさとは、家でご飯を食べられない貧しさなのだと言う・・・・
だから、給食はそんな子供にとって命綱なんだと・・
で、あればこそ、もっともっと質を上げて欲しい。
食あっての命と健康なのだから。
社会は今、何かが狂っているけれど、食まで狂ってしまっては、次の世代に何も残っては行かなくなってしまう。

料理の作り手の腕をもっともっと生かすために、作物の作り手を、この国は育てなければならないんじゃないかと思う。
農業で独立できる人を、この国は、これから作り出さなければ、滅んでしまうとも言えるのだ。