いつのまにか眠ってしまった。
あれこれ紙を広げて散らかしたまま、
書きかけの文字が最後は意味不明の曲線になっている。
ブツッと電池切れ、という感じで眠りに墜落したようだ。
起きあがってまた作業を続ける。
もう少し、あともう少し。
この調子で次の電信柱まで走るのを、
しばらく繰り返すしかないかもしれない。
でもそれ自体はたいして苦にはならない。
しんどいのは、むしろ進めないときだ。
堰き止められたものに中毒しないことのほうが、
けっこう大変だったりする。
時差のままに行こうと決めていたので、
部屋では変な時間に起きてしまうけれど、
消化器系だけは問答無用で現地の環境になじんでいく。
しかも一日のずれる時間量が決まっている。
不思議だなあ。
消化器系の体内時計は、
どのあたりにコントロールファクターが隠れているか、
わかったら便利かもしれないと思いつつ、いやいやこれも、
堰き止められない謎こそが恩恵かもしれないとも思う。
「食う」「消化する」「排泄する」とは、
それほど命に影響を与える、
勝手な差配ならぬものなのかもしれない。