8月27日(日)モビリティとポータビリティ

長く連絡を取っていなかった方から、
名刺を整理しているところなので、と、
久しぶりに連絡をいただいた。
携帯の番号を変えていないことに驚かれた。

しかし今や携帯は最も確かな連絡先。
月日が経つと何らかの会社的枠組みの中で動いていたものは、
住所も固定電話の番号もメールアドレスも変わってしまう。
昔もらった名刺など、あっという間に使えなくなるのだ。

それからいうと携帯は、
所有者の本人が変えよう、やめようとしない限り、
同じ番号で続けることができるので、
何年ぶりにかかってきた電話でも容易につながる。

お互い、携帯以外の今の連絡先を交換し、
近々会うことを約して通話を終わる。

少し前までは逆だった。
携帯の番号は身分証明にならぬと、
やんわり拒否された時代もあったのだ。
どこかの家屋にくっついている電話番号を書けと。

家屋は逃げないから、という論理だったのだろう。
でも、一番逃げない/逃げられないのは本人じゃないか。
なぜ根本にくっついているものを一番信じなかったのだろう。

ほんの数年前までと、
常識とされたものが逆転し始めているのを感じる。

動いてもいいじゃないか。
不動なのは、信ずるに足りるのはただひとつ、本人の意志だ。

これから始まる携帯の番号ポータビリティーは、
まさにそれが動産であることを示していて、
しかし動産であるがゆえに手放すことなく、
一生持ち歩くこともできる、逆の意味での不動産だ。

そのことに気づくと、
どこかしら呼吸が軽くなるように思う。