梨が届いた。
南国では、秋の果物が出始めている。
さくさく甘い、幸水。
この季節、傷みが早いので、
みんな冷蔵庫に。
ひんやり、一息入れてもらう。
縁あって、毎年、
北の国からも果物を取っているので、
こうして南からもう梨が届くと、
北とのタイムラグに驚いてしまう。
日本人は初物好きだから、
北はどうしても南には、
マーケット的に勝てない部分がある。
さくらんぼやメロンなど、
その土地ならではの果物は別として。
冷えた梨を、
残暑の昼下がりにいただく。
こころなしか体も涼しくなるようで。
一番好きな梨は、
ラフランス。
腰でくびれて、大きなお尻。
鼻を近づけると、いつまでもかいでいたいような、
ムスクと果物の中間の匂いがする。
それだけは、
他の梨たちの饗宴が終わったあとに、
北の国から不意にくる。
大人の女みたいに、
遅れてやってくるのよ。