今年もホタルに会えた。
今日は、事情があって外食になった。
家に戻るとはや8時。
あわてて愛犬ねねのお散歩に出かける。
まだうっすらと明るい外は、確実に「冬」とは違うし、蚊も寄ってくる。
用水路でねねが立ち止まって吠える。
それは、威嚇するような吠え方じゃなくて、遠くで私達を見つけたときの声。
ねねが吠えてるその場所を覗き込もうとすると、目前をふうわりと緑に輝く光が下から登って来た。
散歩紐を持ってないほうの手ですくうように、卵を持つときの手・・・ピアノを弾くときの手で、掌に空間を作って捕まえた。
確かな生き物の手ごたえ・・・。
こそこそこそっと手の中で光りながら動いている。
慌てて家に帰って家族を呼ぶ。
今年初のお目見え・・・・懐かしい、でも初めてのお客様。
みんな代わる代わる覗き込んで、確かに光っているその昆虫を確認して「夏」を実感する。
全員とご対面が終わったホタルは、そっと開いた掌から指先に登り、少し羽を広げたかと思うと、すーっと飛び立った。
来週にはお仲間が何匹もまたこの辺りを飛び交うのだろう。
美しく、たおやかで儚い・・・でも、必ず来年も会える強靭な命を携えて。