光のどけき・・・・・(3/18)

卒業式を終えて、17日は、東京のお掃除講座・・・と、家を空けることが多かったので、家の中はぐちゃぐちゃでした。
それより何より、気になっていたのは、先週買っていた、苗。
こちらがスダチ。んでもって、こっちがレモン。
すだちとレモンの木の苗を購入していたのです。
早く植えてあげなくちゃ、と思っていたのだけど、雨が降ったり、霜が降りたり・・・・なかなか良い日がなかった。
ようやくこの休日に、木を植える場所を耕して、定植してあげられました。
木を植える部分だけ、耕しはしたけれど、石灰は撒かずに置いておきました。
そのほかの畑の土は、石灰をまき、ちょっと酸性に傾いていた土壌を消毒がてら、耕しました。
耕運機サラ子で初めて耕したときは、硬くて、雑草の根がごろごろしていて、あちこち深かったり浅かったりして、真っ直ぐに進めなかった畑でした。
土も固くて、塊がでっかくて、耕すのに随分くたびれてしまって・・・・・。
同じ広さを耕していると言うのに、時間はほんの数十分で終わりました。
石灰をすき込んで、できあがり。次回はうねを作らなくちゃ!
途中で止まることもなく、スイスイと・・・・。
サラ子よりちょっと前を、石灰を持った私が歩き、サラサラと石灰を撒き広げながら進み、その後ろを相方がサラ子と追っかける感じで・・・。
20キロの石灰を撒き終え、その後、伸びてきていた雑草を抜いたり、隅っこに溜まっていた落ち葉を拾ったり・・・・外回りのお仕事をやっていました。

一通り、仕事が終わって、ようやくお楽しみの、植樹、です。
棘のある、柑橘系の苗は、そっと持たないと怪我をする。
小さな金柑の木でさえ、棘があるのだ・・・。
私達の生活に浸透している柑橘の木は、そうして自分達を守っている。
とりあえず、1本ずつ、2本植える。
深く掘った穴に、数週間前から、乾燥した生ごみと併せておいた栄養たっぷりの土で底を少し埋め戻す。
この苗を育ててくれる、初乳のようなものだ。
そして、苗をポットから出し、少し根をほぐして、穴に置く。
土をがさがさと穴に落とし、苗が倒れないように、上をちゃんと向くように左手で支えながら、穴をどんどん埋める。
軽く上から圧をかけ、周りに、乾いた草や藁をかぶせ、水をたっぷり与える。
鉢植えと違って、いくら水をかけてもいくらでも吸い込んでしまうので、キリはないのだが、この辺り・・・というところで止める。
この場所が、気に入ってくれますように。
害虫が来ないように、ラベンダーとローズマリーの枝もしっかりモミモミして、根元の藁にいくつかに折って重ねる。
独特のニオイが立ち上ってくる・・・そう、虫の嫌うニオイだ・・・・このニオイは・・・。

実は、ここ数年、近所の畑の農作物が盗まれる事件がちらほら聞こえてきている。
それは、大根や白菜を複数本だったり、果物をもがれていたり・・・・ということで、自分家で食べようと作ってるものだったりすると、いちいち被害を警察に届けたりもしてなかったりもする・・・。
でも、それは確実に窃盗被害なので、対策は講じておかないとね・・・。
だから、棘のある柑橘系の木を、道側に植えることにした。
今は小さくて、まだ実りもないけれど、それでいい・・。
私達の畑仕事も、趣味で、それが主な仕事ではないけれど、育て始めると、可愛くなってくるに違いなく、盗まれるときっととても悲しくなると思うのだ。
少しでも、その頻度を減らしたいものだから・・・。

もちろん、その実りをいただきたいのも必須ではありますが・・・・・・。

数時間して、見てみると、しゃきんと立って、葉っぱも植えたときよりきりりと伸びている。

これからも色々あるんだろう・・・。声なき声で、私に訴えてくる。
風は冷たいけれど、光は柔らかく、暖かい。

桜が早くても、遅くても、今年も咲いてくれるなら、それだけで私はうれしい。
今日植えた木も季節を感じながら、育っていって欲しい。
この木が実りを届けてくれる頃には、一体我が家はどうなっているのだろう・・・。
でも、何かが起こっていても、何もなく穏やかであっても、季節を感じ、緩やかにそれに沿って生活をしていたい、と思うのです。
私の身の程・・・身の丈と言うものはそれほど大きなものや立派なものでは有り得なくて、生かされているこの命と体を、精一杯役に立てて死ぬ寸前まで生活していきたい、と願っています。
シンプルに生きることの難しさ、虚勢も背伸びもせずに生きていくことの困難なこと・・・・思い知らされながら、この木のように、もくもくと自分のペースで、自然とともにありたいと思っています。
人間の生き方って、この木にさえ劣るものなのかも知れないけれど、木は木なりに、ヒトはヒトなりに・・・逆らわず生きていく方法ってきっとあるのでしょう。

そんなまとまらない考えを、それでも巡らしながら、成長を見つめる私を、木はもう、感じているのだろうか。
植物が、話せないと言うのはきっと嘘なので・・・。
人に分からない言葉をしゃべっているだけ。
そして、季節を教えてくれる。
人の感じられないことを感じ、色々な形で伝えてくれる。
新芽を出したり、花を咲かせたり・・・・。
その密かな音は、私達には聞こえないことが多いけど。
それが植物の言葉と思っています。

もうすぐ本格的な春
私の好きな歌
~久方の 光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ~
のごとく、もう何日かで桜もふくらみ、咲き、散っていくのでしょう。
季節は少しも留まることなく変わっていくのですね。
季節を感じるものを、また少し、生活の中に増やしたことの喜びを感じます。
また、チャンスがあれば木を植えましょう。
地球の喜ぶこと、私の生活にも喜びを与えてくれるもの、どちらも満たしているものをこれからも見つけていけますように。