薄ぼやけた湿り気の中、
足早に繁華街を抜けていく。
雑踏の向こうの静かな夜。
撮影打ち合わせ。
気づくとなにも食べないまま。
あまり空腹を感じないが、
深夜、自分に言い聞かせるように、
野菜スープを少量作り、いただく。
にんじん。じゃがいも。板ワカメ。
おしょうゆ。塩。小松菜。
考えてみると、
私はこれらの食べ物を作った人を、
みんな知っている。
文字通り“死なないように”、
命を支えてくださっている方々のことを、
具体的に思い浮かべることのできる幸せ。
そういう幸福ってあるんだなあ、と改めて気づく。
深く感謝して、いただきます。