7月5日(水)肩に手を当てて

ひどく肩が凝っている人に頼まれて、
手を当てる。
当ててもらっているだけで、
十分気持ちいいのだそうだ。
揉まなくていいの? 叩かなくていいの?
と訊ねると、そのままでいいと言われ、
しばし肩に手を当てたまま沈黙する。

変な光景だ。
後ろから肩に手を当て、
何も言わずにじっとしている。

手は温かいから、
血行がよくなるのかな。
などと考えていると、
かすかに手の平に冷たい風が吹いてきた。

この間お腹を壊したときと同じだ。
もっと温かくしないと、ここ冷えてる。

マッサージオイルにサイプレスを入れ、
肩に塗って軽くリンパドレナージュする。

少しすると、肩がポカポカ温かくなってきたという。
植物の力はホント、偉大。

再び、風穴に手を当てる。
ざわざわするものが手を上がってくる。
電気みたい。
それもあまり気持ちのよくない…。

肘まで来て、止まった。

勢いよく手を振って、
ざわざわを払う。
水滴を払うように、
なにかが腕から振り飛ばされていく。

そのあと、ずっと考えている。

振り落とされたざわざわは、
どこに行くのだろう。
新しい別の何かに生まれ変わるべく、
静かにどこかで朽ち始めているかしら。

それともまだなにかに貼り付いて、
たとえば次の誰かを、家の中の何かを、
ざわざわさせているかしら。

ざわざわを、
この世にアルカリのあるごとく、
夢と現のあわいであっけなく中和分解するものは、
ないものかしら。